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感話

C.H.さん(5年生)の感話 ー第2回被災地訪問報告 3日目ー

2013/05/02

 プロジェクト3日目は、南三陸町からバスで仙台市内まで移動して、宮城学院中学校・高等学校の生徒会の皆さんと交流の時を持ちました。宮城学院は、幼稚園から大学まで併設されているとても大きな学校で、恵泉と同じくキリスト教同盟の女子校です。まずは、お互いに自己紹介をして、そのあと、それぞれの学校の震災後の取り組みについて、パワーポイントを交えながら発表をしました。私達は、恵泉教育の三本柱や校舎、恵泉デーや信和会についての紹介をしました。宮城学院の生徒会長の山田さんは、3月11日震災当日、学校で何があったのかその後どうしたのかなど、詳しくお話ししてくださり、その後は、5つのグループに分かれて少人数で意見交換をしました。地震が起こったときの率直な思いや今感じていることなど、私達と同い年の子達から様々なことが得られたことは、私にとってもとても大きなことであり、今回のつながりを無駄にしないように、これからも大事にして次につなげていきたいと思いました。
 山田さんが東京に住む私達に一番伝えたいことは、やはり「この震災を絶対に忘れないでほしい。もう二度と同じことを繰り返さないために多くのひとに伝えていってほしい」ということです。仙台市は、ほぼ今まで通りの状態にまで戻っていて、学校生活に足りないものなどは特にないようですが、沿岸部ではまだ復興が進んでいません。新しいきれいな一戸建てが建ったところもあれば、未だに、がれきを24時間体制で焼却し、更地になっただけのところもあります。私も「まだ2年しか経っていない」ではなくて「もう2年が過ぎてしまった」ということを忘れないでいたいと思いました。
 私は新潟県の海沿いで生まれ育ちました。そのため、2年前の震災が起こってから、昨年6月の被災地訪問プロジェクトに参加するまで、ずっと海へ行くことができませんでした。できなかったというよりも、あえて行かなかったという方が正しいかもしれません。もし日本海で大きな地震が起こって津波が来たら、きっと育った家もみんな流されてなくなってしまうんだろうな…と想像したら、どうしようもなく怖くなり、海なんて嫌いだと思っていたからです。しかし、被災地に来てとてもきれいで、澄んだあの海を目にしてからは、その思いは完全に消えました。あの日多くの大切な人の命と暮らしと思い出を奪った海はとても静かで穏やかで、今も変わらずに浜の暮らしを支えている…やっぱり海は必要なんだ、そして、自分は海が好きなんだということに、ふと気づかされました。
 今ここにいる皆さんの多くは、被災地を訪れたことがない、また、本当は行きたいと思っていてもなかなか行くことができない人など、様々だと思います。東北に家族が住んでいて、自分の目で被災した現実を見てきた私が、皆さんに一番伝えたいのは、やはり現地のことを考え続けてほしいということです。東京にいるから、まだ中学生・高校生だから、役に立たない、そんなことは決してありません。大切なのは、その気持ちがあるかないかです。子供でも大人でももっと震災のことを知ろうとすれば知れるはずなのに、それがだんだんと薄れていってしまっていることを、正直私はとても悲しく感じています。震災からもう2年以上が過ぎ、復興はもう進んでいるのだろう、もう大丈夫だろう、そんな風に思っている人が多いでしょう。しかし、そんな考えでは甘すぎると、絶対に前には進めないということを、今の私ははっきりと言うことができます。できることなら、私はもっと多くの人に被災地を自分の目で見て感じてきてもらいたいとおもっています。そしてぜひ、自分が目にして感じたことを素直に誰かに伝えていってほしいのです。現地へ行ってみなくては分からないこと、行ってみて初めて分かることがたくさんあるはずです。私も初めて被災地に行くまでは、いくらテレビや新聞から情報を得ても被害の状況や規模をあまり想像できていませんでした。でも現地の状況を目の当たりにする度に、これからも支援し続け、途中で止めてはいけない、とより一層復興協力への思いを強くもちました。
 実際に現地へ行って私達ができることは、ほんのわずかなことかもしれませんが、自ら意思を持って行くこと自体に大きな意味があります。沿岸部の被災地では、今もまだ厳しい状況が続いています。復興の終わりが見えない中で、一体何ができるのか、どのように向き合っていくべきかを皆さんと一緒に考え続けていく必要があると思います。だからこそ多くの人に現実を知ってもらいたいと思いますし、そのためにも今日のような報告の場を大切にしていきたいのです。私も、ひとりの人として、東北の地に多くの笑顔と早く元の生活が戻ることを願いながら、被災地と正面から向き合って自分にできることを続けていきたいと思っています。
 今回のプロジェクトの活動の詳細を近いうちに下足室前に掲示しますので、ぜひ見てください。