教育内容

キリスト教教育

恵泉女学園の教育理念

神を畏れ 
人を愛し 
いのちを育む

恵泉女学園は1929年、一人の女性キリスト者河井道によって創立されました。河井は、世界が不安定で戦争へと傾きかけていたとき、それ故に聖書が与える勇気と愛をもって、真に平和な世界を創り出すために奉仕する女性を育てようとしたのです。

聖書が与える勇気と愛をもって、真に平和な世界を創り出すために奉仕する女性を育てようとしたのです

特設科目として「聖書」「国際」「園芸」を取り入れました

その願いを実現するために、河井は、女学校に規定されている必修科目を基礎とし、その上に特設科目として「聖書」「国際」「園芸」を取り入れました。

聖書に基づき、神を畏れ、人を愛し、いのちを育むキリスト教教育を基盤として、さまざまな分野で平和のために奉仕する女性、額に汗して土に親しみ、植物を育て、いのちを慈しむ女性を育てていくことが創立者の願いであり、この創立の精神は、今日にあっても色あせることなく、恵泉教育のすみずみに反映されています。

礼拝―「学園の中心にあるもの」

恵泉女学園で最も大切にされている時間です。創立者河井道は「礼拝が出来なくなった時は学園を閉じるとき」という思いで、創立以来礼拝を捧げて来ました。礼拝の時間は毎朝25分間です。中学生は月、水、金、高校生は火、木にフェロシップホール(講堂)で礼拝を捧げます。ほかの曜日はクラス、学年や放送で礼拝のひと時を過ごします。礼拝では讃美歌を歌い、聖書を読み、祈る他に教師や生徒が「感話」を述べます。信仰のこと以外にもそれぞれが心に留めたことなどを語るひと時です。また、キリスト教会への礼拝出席も奨励しています。

「キリスト教行事」

恵泉女学園では以下のような特別の礼拝・行事を行なっています。

イースター礼拝

皆で花を持ち寄り、講壇を飾ります。礼拝後には、その花を花束にしてカードと共に、ご家族を天に送った人、日頃お世話になっている方々にお贈りします。

母の日礼拝

礼拝において「母」に関わるお話を聞き、生徒手帳にある母の日の讃美歌を歌って、両親への感謝や女性の生き方について思いを新たにします。

収穫感謝礼拝

収穫感謝礼拝は11月の中旬に行われます。果物、野菜などを持ち寄るほか、畑で収穫された野菜なども講壇を飾ります。集められた果物、野菜は礼拝の後に、お世話になっている方々、近隣の保育園、老人ホーム等にお贈りします。

クリスマスツリー点灯式、アドベント讃美礼拝

アドベント(待降節)になると、校門にある木をイルミネーションで飾ります。また、特にアドベントに関わる讃美歌を歌う賛美礼拝も捧げます。

クリスマス礼拝

恵泉で最も大がかりな礼拝です。アドベントが始まると、講壇にクランツを飾り、クリスマス礼拝が近づく週ごとに、ろうそくの灯を一つずつ増やしていきます。信和会宗教部もクリスマス献金の呼びかけなどの活動を行ないます。礼拝では、皆でハレルヤ・コーラスを歌い、クリスマスを祝います。2年生は礼拝のあとグレイスホールで保護者をお招きして祝会を持ちます。

河井道記念礼拝

創立者を記念して持たれる礼拝です。河井先生の生きざまを通し、信仰のあり方や建学の精神を思い起こします。

世界祈祷日礼拝

毎年、全世界で持たれる世界祈祷日に、一つの国の現状を学び、礼拝を持ちます。日本について祈る世界祈祷日が持たれた時には、創立者の河井道先生が式文を書かれました。その国のために祈り、献金を捧げ、同時に世界平和を祈ります。

卒業礼拝

卒業式の前日、6年生を送り出すために持たれる礼拝です。卒業生代表が、6年間を締めくくる感話を述べ、講師の先生のお話を伺います。

礼拝以外の行事等

修養会

修養会とは、一定期間、静かなところで黙想や聖書の学びなどを行うことです。6年生は、夏休みの終わりに6年生のみで二泊三日の修養会を伊豆天城山荘で行います。学園での6年間を振り返り、「自分自身」「他者」「神様」を見つめます。他の学年は一日修養会を2月に行います。礼拝で、生徒の感話を聞き、講師の先生から聖書のメッセージをうかがいます。そして、自分と向き合い、皆で話し合いのときを持ちます。

食前の祈り

1~2年生は、クラスごとに昼食の前に日直または教師の司会で食前感謝のお祈りの習慣を身につけます。

祈祷会

信和会宗教部の主催で毎週木曜日の昼休みに行われる祈りの会です。1年生から6年生までの宗教部員と有志が集まります。学校のこと、友人のことなどを祈りあう時間です。

奉仕活動―「実践的な宗教教育として」

河井道は自著『わたしのランターン』の中で「私の学校!それはどういう種類であるべきだろう。規定されたカリュキュラムとともに、実践的な宗教教育を与えるかたわら、国際の勉強をその教育の具体的な教科目とする方法はないものか…」と記し、学園創立時から自然災害に遭った方々や社会福祉施設に献金をお届けしたり、多摩全生園、横浜訓盲院、日本聾話学校などを訪問し交流しています。これは恵泉の奉仕活動が実践的なキリスト教活動として「神様から受けた恵み、喜びを周りの方々にも伝える」ことを中心に据え、生徒自身も成長しようとしているからです。そのために現在も数多くの施設などに生徒・教職員が捧げた献金をお送りしています。

現在は高齢化社会にあって「お年寄り」を活動対象の中心とし、その他には障がいを持つ方々、世界で苦しんでいる方々への協力などを行っています。1年生と3年生は都内4カ所の特別養護老人ホームの利用者の方々へ年賀状をお送りします。またクリスマスには1年生は手製のカレンダーを全員で制作し3カ所の特別養護老人ホームへお送りして大変喜ばれています。4年生と5年生は利用者へのプレゼントとして製作品を作ります。3年生はインスタントシニアの体験を通してお年寄りの疑似体験をし、4年生は老人介護などの専門家のお話を伺ったのち、全員で13カ所の老人ホームを訪問し掃除や交流の一時を体験します。4・5年生は一年間お世話になった施設や講師の方々へのクリスマスカードを制作しています。

クリスマス活動勉強会と訪問

中学生はクリスマスの季節に神様からの愛に感謝して、自分たちにも何ができるのかを学び、実践につなげていきます。まずクリスマス活動勉強会として福祉の現場で働く15名程の講師をお招きし、中学生全員がグループに別れてお話を伺います。その後有志で老人ホーム、デイケアセンター、授産施設、保育園など約20カ所を訪問し、交流会や清掃活動を行います。

奉仕委員会の働き

信和会奉仕委員会では近隣にある障がいをもつ方の工房である「良工房」と「デイホーム赤堤」、「子ども食堂」での奉仕を通年で行っています。また使用済切手、書き損じハガキ、アルミ缶、ベルマークの回収などを行い、それぞれの関連した団体にお送りしています。

献金

礼拝では月に一回献金を捧げます。献金は御殿場コロニー、やまばと学園、日本聾話学校、止揚学園、JOCS(日本キリスト教海外医療協力会)のお働きのためと、チャイルド・ファンド・ジャパンを通してフィリピンで各学年1名の「里子」のサポートに用いています。学びたくても学校に通う事が困難だった里子との手紙のやり取りを通して、自分の今を考えるきっかけにもなっています。

聖書の授業―「6年間の学び」

「聖書」教育は、恵泉女学園設立の目的である「平和をつくり出す人格の形成」のために定められた三本の柱の一つであり、また土台とも言えます。「恵泉のこころ」の第一にある通り、「神以外の何ものをも恐れない独立人として目覚めると共に、隠れたところで名を没して友なき人の友となる」学びを目指します。