
校長ブログ
1学期終業礼拝

天城山荘に咲くひまわり

民
2016年7月22日(金)1学期終業礼拝
讃美歌 533
暗誦聖句 交読文41 マタイ伝5章
聖書 マタイ21:23-32
お話 repent(思い直す、悔い改める)
讃美歌 420
祈り
今日は、1学期の最後の登校日です。初めに、ここまで守り導いてくださった神様に感謝します。1学期は、107日間ありました。1学期の総決算が通知表となって、これから渡されます。学習の状況や生活の記録が客観的に知らされます。自分自身の実感や感想ではなく、先生方がどのような評価をしているかを知る良い機会です。
河井道先生は、テストの点数についてこのように述べられています。
「七の力を与えられている人が精いっぱい励んで八点を取った。十の力を与えられている人が怠けて九点を取った。人間の目には九点の方が上でも、神様の目には八点の方がずっと上です」
通知表に置き換えれば、一生懸命勉強すれば評定5の成績をとれる人がいます。ところが、怠けて評定4を取った。苦手の科目で評定2しかとれないと思われていた人がいます。しかし、非常に努力をして評定3の成績を取った。人間の評価は、4の方が上でも、神様から見れば努力して取った3の方が尊い、という意味です。成績に一喜一憂する事なく、自分がどれだけ努力したかを、評定の数値以外からも冷静に考えてもらいたいと思います。
もし、自分の期待どおりの結果が得られなかったとき、夏休みの期間に修正をする必要があるでしょう。失敗には、2種類の失敗があります。失敗の失敗と、失敗の成功です。失敗の成功とは、失敗によって学び、そこから自分の改善点に気付き、認めて努力して良くなろうとする失敗です。失敗の失敗とは、自分の問題点を改めようとせず、次も同じ結果を迎える失敗です。
期待通りの結果が得られた人もいるでしょう。これを成功と捉えると、成功にも2種類の成功があります。成功の成功と、成功の失敗です。成功の成功とは、成功した事で立ち止まらず、更に励み続け、自分の成功を足がかりとして現状を超える契機となる成功です。成功の失敗とは、成功に油断して物事を甘く見てしまう失敗の原因となる成功です。よい成績を頂いた人は、決して浮かれて鼻を高くしないように自戒が必要でしょう。
今日の聖書を読んで、心に飛び込んできた言葉がありました。
29節と32節にある「考え直して」という言葉です。「考え直す」という言葉は、英語の聖書では、”repent”となっています。ここでは、「考え直した」”repented”が使われています。旧新約聖書に、80回ほど登場します。「悔い改める」「思い直す」「心を変える」「気が変わる」等に訳されています。
たとえば、マタイによる福音書では、4章17節に、イエス様が言われた言葉として、「悔い改めよ。天の国は近づいた」と「悔い改め」と強い調子になっています。
今日の聖書箇所後半では、ぶどう園には行かないと言いながら、思い直して、ぶどう園に行った兄と、初めは行くと言いながら結局は行かなかった弟の話が喩えとして書かれています。どちらが父親の望み通りの事を行ったのでしょうか。思い直してぶどう園へ出かけた兄の方です。
次に、はじめは神様に対して不信仰でいても、考えを変えてヨハネの言葉を信じた徴税人や娼婦たちと、神を信じるといいながらヨハネの示した神の正しさを信じない祭司長や律法学者にも同じ原則を当てはめています。悔い改めた徴税人や娼婦たちの方が神の国に入る、とイエス様は断言します。
社会の上層部に君臨していた祭司長や律法学者は、成功の失敗をしたのです。社会の底辺にいた徴税人や女たちは、失敗の成功をしたのです。
さて、夏休み前の最後の礼拝は、戦争と平和のことに触れなくてはならないと感じています。このような象形文字が何を表すか知っていますか。目を針でさすさまを描いた象形文字です。この文字が変化して、「民」という字になります。目を見えなくして物事がわからないようにした多くの人々、支配下に置かれた人々の意となったそうです。
最近、「国を愛する心」という三浦綾子著のエッセイ集を読みました。第二次世界大戦の時、三浦さんは小学校の教員でした。彼女は、国のために死ぬことこそ日本人であると、子供たちに信念を持って教えていました。戦争が終わり、自分のしていた軍国主義の教育が如何に狂気に満ちていたかを思い知ります。教師という仕事に疑問を持ち、教師を辞めると同時に肺結核にかかります。病床にある自分に、間違っていたことを子供たちに教えていた天罰だと感じ、「ざまを見ろ」と自嘲していました。やがて、三浦さんは自分の考えを変え直し、キリスト教の信仰を持ちます。悔い改めによって、生きる方向を変えたのです。
教育とは、一歩間違えば、人の目に針を突き刺して、物事を見えなくする働きがあることを教えられました。戦前戦中の教育は、盲目の多くの「民」をつくりだし、日本は大きな世界大戦に突入していきました。
1931年9月18日 満洲事変
1937年7月7日 支那事変
1941年12月8日 真珠湾攻撃 太平洋戦争、第二次世界大戦へ
1945年3月26日 沖縄本島で沖縄戦始まる
1945年8月6日 広島に原子爆弾投下
1945年8月9日 長崎に原子爆弾投下
1945年8月15日 終戦。71年前の8月15日に日本は終戦を迎えました。
非戦平和を誓っていた日本が、戦争もやむを得ないという国に変貌しつつあります。ぶどう園に行くと言っていたのに、結局ぶどう園に行かなかった弟のようです。
8月6日は広島に、9日は長崎に原子爆弾が投下された日です。そして、8月15日。この夏は、様々な戦争の事実を「思い起こす」日であると同時に、目を開かれた私たちが平和を実現する「民」として「思い直す」日としてください。開かれた目で日本を見つめてください。ちなみに、ひまわりの花言葉は、「私はあなただけを見つめる」だそうです。私たちは、平和だけを見つめる、確かな時間をとりたいと思います。
1学期後半の暗誦聖句を新共同訳でお読みします。マタイ5章9節です。
「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。」
夏休みは、37日あります。事故や災いがなく充実した有意義な夏休みであることをお祈りしています。