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2019年度 第73回中学校卒業式 「式のことば」

2020/03/17

スイセン

3月17日(火)中学校卒業式が規模を縮小して行われました。

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聖書 コリントの信徒の手紙二 3章1〜3節

:1 わたしたちは、またもや自分を推薦し始めているのでしょうか。それとも、ある人々のように、あなたがたへの推薦状、あるいはあなたがたからの推薦状が、わたしたちに必要なのでしょうか。
:2 わたしたちの推薦状は、あなたがた自身です。それは、わたしたちの心に書かれており、すべての人々から知られ、読まれています。
:3 あなたがたは、キリストがわたしたちを用いてお書きになった手紙として公にされています。墨ではなく生ける神の霊によって、石の板ではなく人の心の板に、書きつけられた手紙です。のことば わたしたちの推薦状は、あなたがた自身です

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     恵泉女学園の主、イエス・キリストに感謝し、御名をほめたたえます。卒業していく3年生205名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、ここには参列していない保護者の皆様
にとってもあなたがたの卒業は、この上もない喜びだと思います。

   人生の節目で大切なものには、式という名前がついています。今日は恵泉女学園中学校の卒業式です。義務教育が終了する記念の節目でもあります。まだ早いかもしれませんが結婚式も
大切な式です。イエス様がこの地上で初めて起こした奇跡として、カナの婚礼としてヨハネによる福音書2章に詳しく書かれています。
   結婚式では、花嫁と花婿を皆で祝う宴会があります。ところが宴会には欠かせない葡萄酒が足りなくなりました。イエス様のお母さんがその出来事を伝えると、イエス様は、「石の水がめに水をいっぱい入れなさい」と言われました。召し使いたちは、水がめの縁まで水を満たしました。6個の水瓶の容量は、約600リットルと大量です。ところが水がめの水は、汲んでみるとすべてが香り高い葡萄酒に変わっていたのです。宴会の世話役は驚いて「だれでも初めに良いぶどう酒を出し、酔いがまわったころに劣ったものを出すものですが、あなたは良いぶどう酒を今まで取って置かれました。」と言いました。
  イエス様は、人生で一番の晴れ舞台となる素晴らしい結婚の日に、水を上等なぶどう酒に変えたのです。卒業式も結婚式と並んで大切な日です。3年前に、恵泉に入学したあなたがたを水がめに例えては大変恐縮ですが、あなたがたは今、自分が香り高いぶどう酒に変わっていることに気づいているでしょうか。

  恵泉の3年間で、あなたがたは変わったのです。変えられたのです。恵泉は、聖書・国際・園芸を教育の柱としています。
聖書です。先程の暗唱聖句は、いつまでもあなた方の心に残ることでしょう。
The LORD is my shepherd; I shall not want.(主は羊飼い、わたしには何もかけることがない。)
  羊飼いであるイエス様に従えば、何も欠けることがないのです。あなたは、あなたであっていいのです。あなたは、神様に愛され、たとえ死の陰の谷を歩むときでさえ、イエス様が共にいてくださるのです。あなたを苦しめる者があなたの前にいても、イエス様はあなたを祝福してくださり、力を与えてくださるのです。
  毎日の礼拝での聖書の御言葉は、あなたの人生の道標となり、あなたの歩く足元を照らす灯火となるでしょう。このような神様に生かされている自分がわかりはじめたと思います。礼拝の中で、あなたがたは自分の心を見つめるたくさんのヒントが与えられてきました。3年間で、自分の心をのぞくことができましたか。毎朝、たくさんの讃美歌を歌いました。讃美歌は、これからの人生の苦しい時にあなたを慰め、あなたに元気を与える応援歌となるでしょう。創立者の河井道先生もピンチのときに讃美歌「いざいざためらうことなかれ」に力を与えられ恵泉女学園を創立しました。
  国際です。あなたがたは、毎月自分の御小遣いから献金をしていました。フィリッピンの子供達の里親を3年間勤めました。また、毎年の世界祈祷日礼拝では、世界の国々の状況を学び、その問題解決のために祈ります。今年は、遠く離れたアフリカのジンバブエについて学びました。このような活動を通して、貧困や差別や抑圧のない世界を自分たちの手で少しでも築き上げるこ
とだと知りました。今はグローバルという言葉が溢れていますが、恵泉は90年前の創立の時から国際に注目してきました。恵泉の国際は、平和を築くための隣人を愛するところから始まるグローバルです。
  園芸です。2年生のファームワークで牛舎掃除をしてたくさんの牛糞とわらをかき出しました。それが堆肥となって恵泉に戻ってきました。不要と思われていたものが植物を育てる上での大切な栄養分になったのです。ここにも、時間を経て良いものに変わる教材があります。一年生の時、耕した畑に、植物が芽を出し花を咲かせ実をならせました。恵泉の中学3年間は、園芸が象徴するように、心を耕した3年間だったのです。

  新訳聖書の書かれた時代、人をどこかに派遣する時、送る人物の推薦書を付けるという習慣があったようです。
  今日の聖書の個所です。パウロはキリストの教えを伝える役目を持って、コリントに行き、教会を建てました。ところがパウロは、推薦状を持っていませんでした。しかし、パウロは全く困りませんでした。イエス・キリストの教えを受けたコリントの信徒一人ひとりが、パウロの推薦状となったからです。コリントの人々は、キリストの福音に触れ、人として大きく変わりました。水がぶどう酒に変えられた人々になったのです。その人たちを見てくれ、これが推薦状だと、パウロは言うのです。時が経つと薄れてしまう墨によって書く推薦状でもなく、やがて朽ちてしまう石の板に書く推薦状でもなく、生きて働く神の霊によって変えられ善きものとなったコリントの一人ひとりが推薦の手紙なのです。あなたがたも同様です。
  河井道先生は、恵泉の宣伝はほとんどなさらないで、生徒たちに「あなた方が恵泉の看板娘です。」と言われたそうです。あなたがたは、恵泉という土壌で、神様によって育てられた、どこに出しても恥ずかしくない一通の推薦状なのです。もう一度今日の聖書をお読みします。
「わたしたちの推薦状は、あなたがた自身です。」