感話
無意識の人種差別 3年 K.N.さん
無意識の人種差別
3年 K.N.
みなさんは日本で人種差別を見たり、受けたりしたことはありますか。おそらく多くの人が「ない」と答えると思います。実際、以前は私も人種差別とはいわゆる白人と呼ばれるヨーロッパにルーツをもつ人が黒人とよばれるアフリカにルーツをもつ人を差別することだと思っていたため、日本には人種差別がないと思っていました。しかし、恵泉の授業でどの人種でも偏見による差別があった場合、人種差別に当てはまると知り、小学校3年生の頃に自分に起こった人種差別にあたるような出来事を思い出しました。
この出来事は進級して新しいクラスになり、自己紹介をしたときに起こりました。自己紹介で「私は香港生まれです」というと、クラスの数人の男子に「中国人だからマナーが悪いし、きっと家では変なものを食べている」と言われました。両親が日本人であるため、私の国籍は日本であるにもかかわらず、誤解され、その後、私に関する根拠のない悪い噂がクラスに広がってしまいました。私は半年ほどその悪い噂に苦しめられ、筆箱や教科書を隠されたり、壊されたり、心無い言葉をかけられたりすることもありました。もともと私にとって「香港生まれ」ということは誇りでした。しかしこの出来事以降、私は、再びこのようなことが起こることを恐れ、自己紹介では香港生まれということは言わず、差し障りのないことだけを他人と同じように言うようになりました。
もう一つ、中学二年生の冬にあった出来事も思い出しました。これは家族でスキーに行ったときの出来事です。スキーをしているとスキー板が外れて困っている外国人らしい人を見つけました。金髪であるという見た目から私は英語で話しかけ、助けようとしました。しかし、相手は日本語で、日本語を使って欲しいといったのです。それにもかかわらず、私は親切のつもりで英語で話し続けました。するとその結果、私たちはお互いに混乱してしまいました。いったん話をやめると、改めてその人は「英語は話せないから日本語で話してほしい」、と言ったのです。その時、私は私の思い込みで相手を傷つけてしまったかもしれない、と申し訳ない気持ちになりました。
このような経験を通して私は、私たちがアンコンシャスバイアスと呼ばれる無意識の偏見をもっていること、また、そのような偏見を無意識に相手に伝えてしまうことが結果的にマイクロアグレッションとよばれる無意識の差別的な言動につながってしまうことに改めて気づかされました。無意識の差別は日頃の会話の中や普段使っている言葉に潜んでいるため、なくすのはとても難しいと思っていますが、このようなことを少しでも減らすために、まずは自分がどのような偏見を持っているのかを意識し、一人一人が普段の言動に責任を持つことが大切だと思います。
また、これらの無意識のうちに行われる差別的行動は「自分の知っている普通」とは違う人に対しての「無知」が作り出すものです。私が受けた誤解も、私が見た目で判断してしまった出来事もどちらも知識がないからこそ起こったことです。案外私たちは自分たちが「無知」であるということに気づきにくく、それが偏見につながっているのではないでしょうか。私も先日3年生以上で行われた平和教育講演会での北原モコットゥナシ先生のお話を聞くまで、自分の「無知」について知りませんでした。しかし今は「無知」であるということを経験とともに気づくことができています。みなさんも平和教育講演会や日頃の授業で差別について考えるとき、この「無知」ということを思い出してみてください。
また、クリスマス活動勉強会やクリスマス訪問、その他の有志参加行事など学校行事や外部のイベントに積極的に参加することも「無知」を減らす方法の一つだと思います。私も来年の春に行われる「広島平和の旅」に参加して、少しでも「無知」を減らしたいと思います。









