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校長ブログ

第70回中学校卒業式

2017/03/16

 

2016年度中学校卒業式
賛美歌 452
聖書 ローマの信徒の手紙一8章28節
神を愛する者たち、つまり、御計画に従って召された者たちには、万事が益となるように共に働くということを、わたしたちは知っています。

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 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。ここに、恵泉女学園中学校第70回の卒業式を行うことができることを学園の主イエス・キリストに感謝いたします。また、保護者の皆様には、心よりお祝い申し上げます。保護者の方々は、3年前の4月の入学式に思いを馳せ、3年間でこのように心身共に大きく成長なさったお嬢様の姿をご覧になり感慨無量なことと思います。
 青年期前期・思春期と呼ばれるこの時期は、ご家庭にとっても、あなた方にとっても揺れ動く変化の大きな3年間でありました。理想の自分と現実の自分を知って、自分自身との葛藤もあったでしょう。親をも含め大人に対する反抗心もあったでしょう。友人関係での辛いトラブルもあったでしょう。勉強に対する疑問や不満もあったことと思います。でもそれは、すべて成長に必要な出来事だったのです。あなたがた215名は、目には見えないけれども大きな殻を破って、最後の義務教育である中学校の課程を終了して、今ここ恵泉女学園中学校から卒業していきます。

 植物が生長して実をならせるためには、何が必要でしょうか。植物がしっかり、根を張りからだを保つための土壌です。その中に含まれる窒素・リン酸・カリウムの栄養素も必要です。また、植物の細胞に行き渡り、栄養を運ぶ水です。生育に必要な温度です。光合成を行なうための、二酸化炭素と光です。これに加えて、植物を育てるためには、雑草を取り除く草取りが不可欠です。冬の寒さも、夏の暑さも植物にとっては必要なのです。

 人間の成長も全く同じです。あなたは、自分が大きく成長したことを実感しているでしょう。それはそれですばらしいことです。しかし、自分の力のみによって成長できたのではないのです。あなたの成長は、家族の支え、友人の助けがあり、先生方の励ましの中で守られ、育まれていたのです。あなたを応援して下さった方々へ感謝しましょう。今日、卒業を祝いご列席くださっているお父さん、お母さんに、まず感謝しましょう。

 卒業生全員での英語による聖句諳誦(詩編23篇)は、聴いていてびっくりするほど立派でした。これ一つとっても、あなたがたの成長がはっきりわかります。このPsalm23は、キングジェームス訳です。荘厳で格調高い文体で知られているものです。若い時に、あなた方の記憶に刻まれた聖書の言葉は、一生の宝物となるでしょう。日本語の新共同訳聖書では、このようになっています。
:1 主は羊飼い、わたしには何も欠けることがない。
:2 主はわたしを青草の原に休ませ/憩いの水のほとりに伴い
:3 魂を生き返らせてくださる。主は御名にふさわしく/わたしを正しい道に導かれる。
:4 死の陰の谷を行くときも/わたしは災いを恐れない。あなたがわたしと共にいてくださる。あなたの鞭、あなたの杖/それがわたしを力づける。
:5 わたしを苦しめる者を前にしても/あなたはわたしに食卓を整えてくださる。わたしの頭に香油を注ぎ/わたしの杯を溢れさせてくださる。
:6 命のある限り/恵みと慈しみはいつもわたしを追う。主の家にわたしは帰り/生涯、そこにとどまるであろう。

 羊には良い羊飼いが必要です。“良い羊飼い”は、羊を狼という危険から守り、青草や水という恵みのある場所に導くのです。羊とは、私たちのことです。良い羊飼いとはイエス様のことです。イエス様に導かれる私には、何も欠けるものはないと、作者は歌うのです。旧約聖書の言葉ですが、“主”とはイエス・キリストを表しています。主イエス・キリストに従う生活の恵みと心の平安について歌っているのです。

 今日の聖書の御言葉は、ローマの信徒への手紙第の8章28節です。卒業式にあなた方におくる御言葉です。

 「神を愛するものたち」から始まります。「神を愛するものたち」とは、別の言葉で置き換えると「御計画によって召された者たち」のことです。あなたがたのことです。さらに御言葉は、「万事が益となるように共に働く」と続きます。

 神様はあなたが行って実を結ぶために、すべてのこと(All things)を益としてくださるというのです。今日の聖書の御言葉は、あなたにとってできれば避けて通りたかった辛く悲しい経験さえ、あなたにとってプラスになることを教えています。生きることは、苦しいこと、辛いこと、悲しいことをたくさん含んでいます。実は、これらの事はあなた方が成長し、実を結ぶために、益に変わることなのだ、と聖書は教えています。

All thingsは、何でしょうか。

 Trial: 試練、災難、労苦    

 Heartache: 心痛、苦悩、悲嘆

 Injury: 危害、屈辱、名誉毀損

 Necessity:窮乏(お金がなくて生活に困ること)、窮境(非常に苦しい境遇)

 Grief:(死別、絶望)深い悲しみ、悲痛

 Sickness: 病気、病い

です。これらの英語の頭文字をとると”things”となります。これらは、あなたが神様から与えられた実をならすために必要な栄養素なのです。そして、すべてのことを益として働かせて下さる神様の恵みによって、これらはこのような果実に変えられます。

 Truth:真理、誠実、正直

 Holiness:清さ

 Increase:増進、増強

 Newness:新しさ

 Goodness:善、やさしさ

 Sup:食事

これらも頭文字をとると”things”となります。「万事が益となるように共に働く」のです。
 最後のSupは、古い英語なのだそうですが、動詞として「食事をする」ことも意味するそうです。暗誦聖句の詩編23編の最後6節は、新共同訳聖書ではこう書かれています。
「命のある限り/恵みと慈しみはいつもわたしを追う。主の家にわたしは帰り/生涯、そこにとどまるであろう。」
 旧約時代に神の家にとどまることは、新しい契約の元では、イエス様と共にイエス様の家で食事をすることです。あなたは、イエス様と親しい関係を築き上げることができるのです。

 あなた方のこれからの歩みには、苦労や忍耐が必要なときが必ず訪れます。その時、聖書のこの御言葉は、ここまで導いて下さった神様に信頼していけばよいことを示しています。苦しみや悲しみは、神様の愛と恵みによって発酵し、熟成され、あなたの内で良いものに変わるのです。
 恵泉女学園中学校を卒業して、そのまま恵泉女学園高等学校へ進学する人、他校に行って新しい高校生活を送ろうとしている人、神様は分け隔てなく、これからの歩みを祝福していて下さいます。
 神様の恵みは、すべてのことを働かせる神様のご計画を保証するものです。あなたがたにとって、一見マイナスに思える事柄は、無駄になるどころか、これから巣立つあなた方に働き、成長させ大きな実をならせてくれるのです。恵みのうちに、卒業して行って下さい。