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校長ブログ

本物に出会うー恵泉の教育ー

2014/06/23
園芸室前に咲く八重のドクダミの花

園芸室前に咲く八重のドクダミの花

第2回保護者会 全体会礼拝 「本物に出会う―恵泉の教育」
讃美歌 312 
聖書  フィリピの信徒への手紙  1章9節〜10節前半

 わたしは、こう祈ります。知る力と見抜く力とを身に着けて、あなたがたの愛がますます豊かになり、本当に重要なことを見分けられるように。

祈祷

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 このフィリピの信徒への手紙は、獄中にいるパウロがお世話になったフィリピの教会の人々に、感謝の気持ちと、イエス・キリストのある喜びを分かち合う手紙です。2学期からの礼拝の聖書の箇所は、このフィリピの信徒への手紙から始まります。
 「あなた方の愛がますます豊かになり」とパウロは祈ります。この愛は、「知る力」と「見抜く力」をつけた愛です。英語の欽定訳聖書では「知る力」は、knowledgeとなっています。愛が「知る力」を求めているのは、愛がイエス・キリストの広く深い知識を求めるものであることが分かります。この知識をもっともっと身につける必要があります。「見抜く力」とは、judgmentとなっています。原語の意味は、金属や硬貨が本物かどうか判別する力を表します。本物と偽物を見分ける力を得て、本物だけを知ることが愛を豊かにする方法なのでしょう。
 そして、広く深い知識と本物を見分ける力をまとった愛が、本当に重要なことを見分けられるのです。恵泉の使命は、「神を畏れ 人を愛し いのちを育む」事です。具体的には「キリスト教の信仰に基づき、神と人とに仕え、自然を慈しみ、世界に心を開き、平和実現のために貢献できる女性を育成する」ことです。
 中高では、明確な「育てたい生徒像」を持っています。
1.個としての自覚に目覚めた女性。
2.平和への不屈の意志をもつ女性。
3.「いのち」の貴さを知る女性。
4.知的探究心と確かな学力を備えた女性。
 このような女性を育てるために、恵泉では、本物に出会う教育を様々な教育活動(礼拝、授業、行事、信和会等)で行っています。

 なぜ、本物に出会うことが教育で大切なのでしょうか。それは、聖書の言葉にあるように、最も重要なことと、そうでないことを見分けることができるようになるためです。特に、若い12歳から18歳までの内に、その力を宿らせる事はそれから先に人生を切り開くためには欠かすことができないと考えます。
 例題です。「個」と「国家」、「平和」と「繁栄」、「いのち」と「死」を考えたとき、どちらが大切だと思われるでしょうか?答えは各自が出すものです。その拠り所を本物は示してくれます。
 そして、本物は一度出会うと忘れることがありません。記憶の底に埋没することはあっても、人生のどこかで新鮮な記憶として浮き上がり、金の鉱脈(人生の価値)を掘り出す手助けを与えてくれるのです。

それでは、本物とは何でしょうか。          
(1) 「人」との出会いです。恵泉では創立記念式典に各方面の第一線でご活躍になっている方をお呼びし、その方の人格に講演を通して出会うことができます。最近の講師の方は、以下の通りです。嬉しいことに、恵泉と何らかの関係がありご依頼することができました。
  2013年度 姜 尚中氏(聖学院大学学長、政治学、政治思想史)
 2012年度 大石 学氏(東京学芸大学教授 日本近代史、「篤姫」「八重の桜」の時代考証)
 2011年度 小柴 昌俊氏(東京大学名誉教授 2002年ノーベル物理学賞)
 2010年度 平田オリザ氏(劇作家・演出家)

 また、先生や生徒との出会いです。1年生が5月に書いた感話と昨年度の卒業生の感話をご紹介します。
「先生や先輩方の笑顔がとても優しいです。」この環境で、恵泉の目指してみるものを見つけます。現1年生。 
「美しい文章を書ける女性って素敵ですよね。」先生の一言が進路を決めました。 昨年度卒業生。

(2) 「文化」との出会いです。                       
 秋に5年生は、「見学旅行」に行きます。日本の古い文化との出会いがそこにあります。奈良県立橿原考古学研究所から研究員を招いて事前学習を行い、現地で独自のプログラムで各コースを少人数で見学します。現地の語り部の方11名と恵泉の教師が説明をします。バスガイドさんもメモをとりながら勉強しています。また、旅行会社も企画していないような独自のコースもあります。私がかつて引率したコースでは、ここを訪れるのは大学の史学科の学生と恵泉さんだけです、といわれたお寺がありました。重要文化財に指定されている金のふすまのある部屋に通され、お寺の方から説明に古都の文化の深さを呼吸することができました。
 つい最近、日本フィルハーモニーの音楽会をここフェロシップホールで行いました。今回は、アンコールで課外オーケストラとの競演がありました。音楽のスペシャリストの間に交じっての演奏は、生徒の技量を驚くほど上達させました。毎年行われる芸術鑑賞会は、音楽・演劇等5つのジャンルをローテーションして行われます。在学中に本物の芸術を堪能することができます。ちなみに、2013年度は、日本の古典芸能(落語、浪曲、曲芸)、2012年度は韓国伝統芸能、2011年度は、キューリー夫人のノーベル化学賞から100年目に当たり青年劇場「マリー・キュリー」でした。マリー・キュリーにあやかり、記念式典では、前述のノーベル賞受賞者の小柴昌俊さんをお呼びしました。

(3) 「いのち」との出会いです。
 有志参加行事「カワヨワークキャンプ」より、昨年度3年生の感話をご紹介します。青森県カワヨグリーン牧場での体験を綴っています。鶏を絞めて、解体しその肉を食することで「いのちへの感謝」に気付きました。また、その年は子牛の誕生に巡り会え、お母さん牛が子牛を見守る温かさに「いのちの尊さ」を知ることができました。 今年も「牧ノ原やまばと学園訪問」を行います。やまばと学園は、重度知的障がいというハンディキャップの持った人の施設です。その方々との交わりを通して「ともに生きる」ことの大切さを考えます。
 現在の学園理事長の長沢道子先生は、恵泉で勤務なさっていたこともあり、毎年生徒がお世話になっています。学園訪問後の生徒の心の成長には目を見張るものがあります。今年は、私も参加する予定です。
 礼拝後に、生徒が毎日聴いている本物をご紹介します。毎日の礼拝での奏楽は、ここフェロシップホールのパイプオルガンによって演奏されています。今日は、月・木・金を担当して下さっているオルガニスト筒井淳子先生による「ウエストミンスターの鐘op.54」(フランス L.ヴィエルヌ 1870-1937)を聴いて頂きます。筒井先生は、恵泉女学園高等学校を卒業なされ、東京芸術大学・同大学院、ドイツ国立フライブルク音楽大学大学院で研鑽を積まれ、現在、キリスト品川教会オルガニスト、恵泉女学園中学・高等学校オルガニストとしてご活躍中です。