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卒業生の今

M.N.

恵泉の学園生活を振り返って

nishio

  • 2009年度卒
  • 上智大学文学部
    史学科西洋中世史専攻4年(2013年11月現在)

一人一人を個として見つめてもらえる恵泉教育

私は今年度教育実習生として三週間恵泉の学園生活を振り返る機会を与えられ、改めて感じたことがあります。それは、毎朝の礼拝、先生方の熱心さ、そして恵泉特有の「私」を見てもらえる環境に6年もいさせてもらえたことのありがたさです。

毎朝の礼拝は、在学中から自分と対話する時間や新たな考えを吸収する時間として大切に思っていましたが、大学に入ってからは中々そのような時間はとれず、将来のことを考えるときにも、私はどうやって自分と見つめ合っていたのか、そもそも見つめ合えていたのだろうかという不安を抱くほどでした。しかし、改めて恵泉の礼拝に参加し、驚くほどすんなり自分と向き合うことができ、毎朝「今日はこうしたい、こうなりたい」という目標を設定しながら実習に臨むことができました。そのおかげか、実習終了後も自分を見つめ、自分が何に苦しみ、何を求め、何にやりがいを抱くのかを冷静に分析し、将来の進路を決定することができました。また、現在、西洋中世における慣習が英仏関係に及ぼした影響をテーマに取り組んでいる卒業論文においても、行き詰まりを感じるたびに、自分は何に面白さを感じて歴史を専攻することに決めたのかと初心に帰ることで横道に逸れることなく研究を進められています。それも自身と向き合うことが出来るようになったからだと考えています。

先生方の熱心さについては、生徒として見えていたよりはるかに強いものを目の当たりにし、ただただ尊敬の念と、こんなに愛されていたのだなあ、というありがたみを感じました。私は在学中、特段成績が良いわけではなく、何度もくじけそうになりながら学習を進めていましたが、ある時一気に結果が出て、それ以降俄然やる気になった経験がありました。それは先生方が決して生徒を見捨てず、根気強く指導して下さったからにほかなりません。実習中は、在学中には気付かなかったような些細なことでも、細やかな配慮や工夫が見え、改めて恵泉で教育を受けることができて幸せだったのだなあ、と感謝の念を抱きました。

「私」を見てもらえる環境、と言葉でいえば簡単ですが、担当の生徒一人一人をしっかり見つめるということは大変に困難だということを実習を通して体感しました。一人一人を個として見つめてもらえることは本当に幸せな環境であり、文字通り有難いことだと強く感じました。

一度離れた場所だからこそ、改めてありがたみを感じることができたとともに、恵泉で過ごした六年間が確実に私の核を作りあげていると感じます。自分が今何を考え感じているのかを声にしたり、諦めずに物事に取り組んだり、それは簡単に身につくものではありません。卒業論文のテーマを決める際の自身を見つめること、その後も諦めず文献を探したりポイントとなる箇所を文章化することなど、恵泉教育から得られたもので今の私はぶれることなく前に進めています。恵泉教育を受けられてよかったと心から思います。

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