教科教育
国語科
古典および現代の優れた文章や文学作品を、正しく理解し味わう力を身につけること、主体的に考え、表現し、互いに伝え合う力を養うことを目標としています。身辺の具体的な事柄から抽象的・観念的な事象へと思考を深めていく時期に見合った言葉を身につけさせたいと考えています。
1年生 ●今後の言語生活の土台を形成。●授業内に読書の時間を設け、集中して本を「読む」姿勢を育成。●戦争体験者等の聞き書きを通して、話を「聞く」という行為を意識化する。
3年生 ●週2時間のメディアリテラシーの授業は、20年以上続けられている。●1学期はディベートを実施。テーマは自分たちで決めており、服装などの身近な問題から死刑制度や原発の是非といった社会的な問題まで様々。立論はデータや事例などの客観的根拠を挙げ、論理的に述べるよう指導。●2学期は校内を取材して新聞を作成。教員・職員・保護者にも取材し、物事を生徒の立場からだけでなく、多角的に捉えるよう指導。また、新聞・テレビ報道を比較・分析し、ニュースには編集者の意図があること、情報を鵜呑みにせず批評的に読み取る必要があることを学ぶ。
4~6年生 ●現代の作品だけでなく古典文学の読解を通して、知識・思考力・批評的読解力を養う。先人の思索と感性に触れ、人間と社会・自然との関係について理解を深める。●作品から受け取ったことを自分の言葉で表現することで、複雑で抽象度の高い思考力・表現力を磨き、また、自らの生き方について思索を深める。
K.Y.さん 6年生
国語は、現代にありながら過去の人々の思いにふれられることが魅力です。先入観をなくし、広い視点で捉えなければ内容理解が難しい作品が少なくなく、その背景にある人の感情に思いを巡らせる習慣が身につきました。
数学科
数学科の目標は、問題の条件を正しく読み取り、数式や言葉で論理的に表現する力をつけることです。反復練習で基礎を定着させるとともに、証明問題を通して自分の考えを相手に正確に伝える記述力・説明力をつけていきます。また、身の周りのことに関心を抱き、当たり前に思えることに疑問を持つ視点を育みます。「悩み考えているときにこそ数学的思考力は伸びる」という確信のもと、様々な問題に対して粘り強く考える姿勢を育みます。
1年生 ●学習習慣と確かな計算力を身につけることが目標。 ●授業は少人数クラスで、式の立て方や図の描き方、宿題の取り組み方などを丁寧に指導。 ●計算テキストや授業冒頭の小テストで、内容の確認と定着を図る。
2・3年生 ●図形の証明などを通して論理的思考力を向上させる。 ●プリント教材により日々の学習習慣を確立するとともに、数学的に考え、論証する力を育成。 ●授業外では補習だけでなく、得意な生徒を対象とした講座を設け、大学入試などハイレベルな問題をグループディスカッション形式で解いていくことで、解答力を磨く。
4・5年生 ●習熟度に応じて編成したクラスで授業を進行。 ●基礎クラスでは、基本事項の定着を図り演習を実施。 ●応用・発展クラスでは、教科書の内容を徹底しながら、より高度な内容にも取り組み、理解度を向上させる。 ●定期試験や模試のない月には幅広い内容の実力テストを実施し、総合的な学力を養成する。
6年生 ●大学受験に対応した数学III、ハイレベル演習、スタンダード演習、数学IA 演習、数学ⅡB演習を設置し、それぞれの進路に合わせた授業を実施。 ●演習科目では、アクティブラーニング形式を取り入れ、入試問題を解きながら数学の本質的理解を促す。
K.H.さん 4年生
数学には有志参加のStep up講習があり、中学生も大学入試問題にふれられます。生徒同士でディスカッションし、式の解き方を言語化するため、理解が深まるだけでなく、正解へのプロセスが各自違うことに面白さを感じます。
社会科
自分をとりまく社会がどのような歴史・風土・構造の上に成り立っているのかを理解し、国際社会の中で生きていく土台を形成することを目標とします。日々の授業と6年間の学園生活を連動させながら、目標を実現したいと考えています。
1年生 ●世界地理を中心に学習。自ら学ぶ楽しさを知るため、特に調べ学習と発表の機会を多く持つ。メディアセンターを積極的に活用し、教科と司書教諭でチームティーチングを実施。
2・3・4年生 ●歴史・地理・公民分野の学びをバランスよく展開しながら基礎知識の定着を目指す。グループ作業やレポート作成、ディスカッションなども取り入れながら、主体的・協働的な学びを展開。
5・6年生 ●各自の関心や進路希望に応じて幅広い選択科目を設置し、深く発展的な学びを目指す。特に日本史や世界史は授業時間を十分に確保して、内容の濃い授業を展開。地理では地図を片手に学校周辺探索、時事問題研究では校外学習や専門家による講演などを実施。 ●6年次には演習科目を設置しており、受験に対応させた授業も充実。 ●模擬投票など、主権者教育も実施
A.T.さん 6年生
社会は、様々な事象の因果関係の把握が難しいですが、まとめノートを作ることで情報編集力が身につきました。授業で習った寺社や仏像などの文化財や地域について、見学旅行などで実際に見て理解を深める楽しみもあります。
理科
理科4分野を発達段階に見合った時期に学び、自然に対する関心や探究心を高め、正確な知識と科学的思考力を身につけることを目標としています。分野に偏りなく、多くの実験を積み重ね、考察し、結果をまとめ、発表する力を育成します。「理科好きを増やそうプロジェクト」は、生徒の興味や関心をかきたてるテーマを設定し、自主研究を行う取り組みです。例えば「結晶づくりコンテスト」などを行っています。各自がテーマに対して調査から実践、結果にたどり着くまでの過程において探究心を育む教育を行っていきます。
1・2年生 ●観察・実験を年間20回以上行い、実験の基本操作を学び、自然科学に対する興味関心を高める。 ●長期休みを利用して博物館に足を運び、レポートを作成。調べ学習を行い、資料文献から必要な情報を読み取りまとめる力を育成。 ●その内容を授業内で発表することで、プレゼンテーションの基本を学ぶ。
1年生 ●各分野の基本的な原理を理解し知識を身につけるとともに、実験を行い、レポートを書くことで論理的に考え、まとめる力を育成。3年では中学理科の総仕上げとして、興味があるテーマを選択し、実験の方法、考察、まとめ、発表に至るまで全てを自分たちで組み立てる探究実験を実施。 ●レポートは正しい表現ができるようになるまで、教員が繰り返し添削。
5・6年生 ●それぞれの生徒が興味のある分野を選択し、学びを深化。 ●教科書の内容は5年次に終え、6年では入試問題の演習を中心に学習する。 ●自分たちでテーマを決める課題研究を実施。自ら問題を見つけ、答えの見えない研究に取り組むことによって、未知のことがらに満ちた世界の中で先に進む力を育成。
R.I.さん 5年生
恵泉の理科は観察・実験が多く、特に自分で手を動かし視覚的に理解できる化学の実験が気に入っています。日常的な疑問が、授業を通じて後々解明され、知的好奇心が満たされることに理科のおもしろさを感じています。
英語科
中学で確実に基礎を定着させた上で、高校では少人数授業や豊富な選択授業により、Reading、Writing、Listening、Speakingの4技能をバランスよく伸ばし、自信を持って発信できる英語力を身につけることを目標としています。
●4年生までネイティブ教員による少人数制の英会話授業が必修。既習文法事項と関連させた内容を扱い、会話力とともにICTを用いたプレゼンテーション力を身につける。 ●校内で英検等の外部検定試験を実施。ネイティブ教員による面接練習の他、希望者はオンライン英会話で対策ができる。
1~3年生 ●小テスト、宿題、直しノートなどを通じてきめ細かい指導を行い、語学学習に欠かせない毎日の学習習慣を確立。 ●メディアセンターを活用し、多読の習慣をつける。 ●早期に音に慣れるため、1年からリスニング教材を使用し演習。 ●文法を疎かにすることなく、基礎力を確実に身につけるため、高校での学習に効果的な形で指導。 ●既習文法事項を使って身近なできごとを書く活動を行う。 ●詩やスピーチの暗唱活動を、スピーキング力向上につなげる。
4~5年生 ●4年生では2段階、5年生では3段階の習熟度別授業を導入、レベルに合わせた指導を行う。 ●エッセイライティングやスピーチ発表により、表現力を養成。 ●中3から毎週行う単語、語法の小テストを通じて語彙力を養成。 ●大学入試共通テストを意識したリスニング演習。特に5年生では毎週1時間、共通テストリスニング対策を演習形式で実施。 ●大学入試で今後求められる速読力をつけるための演習を授業内で実施。 ●5年生では入試を意識した「総合英語」を選択科目として設置。
6年生 ●必修授業は3段階の習熟度別。9月以降は大学入試長文を扱い、リスニングも含め、志望校を意識した指導を行う。 ●内容の濃い文章を読み、関連する映像を視聴してディスカッションするなど、英語をツールとして使えるようになることを目指す。 ●レベル別の「英語演習」、「時事英語」、ネイティブスピーカーによるライティングなど、個々の目標に合わせた選択授業を設置。
R.S.さん 5年生
毎週のリスニング授業を通じて、英語スピーチの動画を日本語字幕なしで理解できるようになりました。時事問題に関する英文の読解力も日常的に強化されるので、世界のニュースをネットでチェックする習慣も身につきます。
聖書科
平和を実現する女性を育てるキリスト教教育
恵泉女学園創立の目的である「平和を作り出す女性の育成」のために設けられた特設科目の一つであり、恵泉教育の土台です。また、中学校においては「道徳」の教科に代わるものでもあります。「聖書」の授業では、キリスト教についての知識・理解を深め、「信仰」の世界への関心を持ち、自己、他者と向き合い、聖書のメッセージを読み取る力を養うことを目標とします。
保健体育科
生涯にわたって健康な暮らしを送るために
「体育」では身体を動かすことが楽しいことだと感じられるように工夫しています。実際に身体を動かすことで、自分の身体に対する興味関心を持つよう促します。また、生涯にわたって運動を継続していくための導入として、できるだけ多くのスポーツ種目に接することができるよう配慮しています。違う学年に同じ種目が設定されている場合は、学年が上がるほど内容に深みが出るようにしています。前期では様々な動きに対応できるようにし、中期、後期ではより高い技能を目指していきます。「保健」では授業を通じて健康や安全に関心を持ち普段の生活の見直しができるようにし、将来に備えられるように指導しています。
音楽科
自分の感動を音楽という手段を用いて表現
音楽で求められる感受性とはどのようなものでしょうか。自分が出す楽器の音・声、周囲の人の楽器の音・声。一人のとき、複数のとき。また、聴いた音楽をどう受け止めるか、そして自分ならどう表現するのかを自分で考えて工夫することで、最終的には受動的な受け止め方にとどまらず、自分の感動を音楽という手段を用いて表現することを目指します。恵泉では毎朝の礼拝での賛美を始め、6年間を通じて歌に触れる機会が多くありますが、授業では発声指導など、より実践的に歌を学んでいます。その他、1・2年生ではアルトリコーダー・ギター・三味線など、それぞれの楽器の特徴を考えながら、良い音を探っていきます。3年生では社会(歴史)の授業と関連づけながら音楽史を学習します。映像資料も活用し、想像力を働かせて鑑賞もします。4~6年生では実技と並行してより専門的に楽典も学び、6年生では創作課題にも取り組みます。
美術科
作品の価値を理解し、個を尊重する姿勢を育む
「文化」や「表現」というものは、言ってみれば高度な「遊び」でしょう。「遊び」にはルールがありますが、たった一つの答えというものはありません。むしろ無数の答えを持っていると言ってよいでしょう。皆で同じ遊びをして競い合うことより、自分で新しい遊びを創り出すことが大事なのです。そしてその意識は、自ら見つけ出すことの価値を十分理解したり、個の違いを尊重する姿勢を自然に育んでいくための核となることでしょう。1~3年では基本的な素材や造形のルールを学び、身につけます。また、映像による資料・教科書・副読本などを通して、美術作品の多様な表現に出会い、「発見」の感動を味わいます。4~6年では油彩中心の平面の分野でより深く課題に取り組みます。
技術・家庭科
生活にまつわる諸問題を身近に捉えて学習
衣、食、住、家族、保育、ライフプラン、高齢者、消費生活、環境、マナー等生きることに関わる様々な問題について興味や関心を広げ、自分との関係において考える力を養い、必要な技術を習得していきます。調理実習では、園芸科で育てた作物を用いた調理を行っています。収穫物の調理、試食、生ごみの資源化まで、「生命のサイクル」を体験から学びます。被服実習では、手縫いの基礎を徹底し、自ら衣服の補修ができる日常の技術を身につけます。また、ミシンを用いた立体的な作品製作により、衣生活への意識を高めます。可能な限り体験することで諸問題を身近に捉え、実生活に反映させていくことを目指します。
情報科
メディアをクリティカルに評価できる人に
多種多様なメディアが存在し莫大な量の情報があふれる現代社会において、その情報および情報源の信憑性について判断できる力も含め、意識的かつクリティカルにメディアを評価できるメディアリテラシーを身につけることを目指します。「コンピュータを使う、使える」ことは目標ではなく、それらが手段の一つであることを理解し、課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを学びます。また必要な情報を主体的に収集・判断・処理し、受け手の状況などをふまえて発信・伝達する能力を養うことも目指します。
園芸科
園芸を通して、生命の尊さや働く喜びを学ぶ
「園芸」は学園創立時より特設科目の一つとしてカリキュラムに取り入れられてきました。土と親しみ、植物を友とし、自分の身体を動かし、友人と協力して作業する。こうした経験を通して、生命の尊さや働く喜びを学びます。授業では実習を中心に、恵泉の「園芸」の理論と技術を身につけることを目標としています。特別な道具や施設を極力使わず、授業で学んだことを家庭でも実践できるように、身近な植物を選び、草花や野菜の栽培を播種から育苗管理、収穫、利用まで行います。またキリスト教教育を行う学校として、いのちとキリスト教とのつながりにも目を向けていきたいと考えています。